経理部員であれば、大量の帳簿資料が保管された倉庫で特定の領収書を探すのに苦労したことが一度はあるかと思います。
僕が日本にいた時も、会社には資料保管倉庫があって、一年に一回は経理部員総動員で帳簿資料整理をしてました。そういった整理も経理の閑散期である夏に行うので結構暑いですよね。。。
でもどうしてそんなにたくさんの資料を保管していないといけないのでしょうか?


それは、帳簿書類には保管期限があるからです。

何のために長い期間保管しないといけないのか、その目的からまずはお話ししたいと思います。

 

【帳簿書類を保管する目的は?】

帳簿書類を保管する目的は端的に言うと税務署からの税務調査のためです。
経理部員であれば一度は税務調査を体験したことがあると思いますが、ご存知の通りいつ調査が入るかわからないんです。毎年くる企業もあれば、数年に一度しかない場合もあります。
調査の際、計上されている費用が適切なものかを証明する必要があり、そのためにいろいろな帳簿資料(領収書や請求書などなど)が必要になってくるんです。
もし調査時にすでに資料を捨ててしまっていたとしたら、書類を保管していなかったこと自体には罰則はないようですが、その費用の正当性を主張することができない可能性があります。
だから帳簿書類は保管しておく必要があるのです。

 

【帳簿書類の保管期限は?】

では、過去どれくらいに遡った決算期まで税務調査が入る可能性があるのでしょうか。
実は税金には時効があって、これが
7年なんです。従って7年より前の実績に関してはその正当性を証明する必要はないんですね。
これがよく聞く「帳簿資料の保管期限は
7年」というルールの根拠となっています。
上記で紹介した私の経験である「毎年の倉庫整理」は、
8年前の帳簿資料を毎年捨てる作業がメインでした。

 

【特定の条件下で保管期限は伸びる?】

ただ、例外もあります。赤字の場合です。
基本的には法人税というのは儲かっていたら支払うものなので、赤字の場合は支払わなくていいんです。
しかもその赤字分を翌期以降に持ち越すこともできて、もし翌期に黒字になっていたら、前年の赤字分と相殺して税金を少なくできるルールがあるんです。

これを繰越欠損金と言います。

で、この繰越欠損金は平成
20年からは9年間にわたって使用できることになりました。
ただ、こうなると
9年後に使おうとした欠損金が本当に9年前に発生していることを証明する必要があります。
従って、繰越欠損金が発生した年は
9年間の保管期限が必要になるのです。
また平成
30年以降はその期間が10年間に伸びました。赤字を出した期は注意が必要ですね。

 

 

さて、今回は税務に関する書類の保管期限に関してみてきました。
保管期限はその資料が起因するルールの時効によるものであることは理解いただけたかと思います。
ということは契約書とか人事関係の書類に関してはまた違う領域となり、それぞれ時効となる期間も異なると思います。
会社書類の保管期限を管理するときは、それぞれの法律がどうなっているかを確認するようにしたほうがいいと思います。
くれぐれも経理書類が
7年だから人事関係の書類も7年でいいよね、なんていう短絡的な判断はしないほうがいいですね!

 

さて、次回以降はアメリカの企業における帳簿書類の保管期限も確認していこうと思います。